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デフォルトBase SAS EngineとSPD Engineの比較

比較の概要

デフォルトBase SAS EngineデータセットとSPD Engineデータセットには多くの類似点があります。両方とも、ファイルの論理コレクションであるSASライブラリにデータを格納します。SPD Engineデータライブラリは複数のデバイスやファイルシステムにまたがるので、SPD Engineは非常に大きなデータセットの使用に最適です。また、SPD Engineでは、LIBNAMEステートメントでコンポーネントごとに別々のディレクトリ(またはデバイス)を指定できます。SPD Engineファイルの作成とロードでは、SPD Engineデータライブラリの設計および設定に関する詳細を提供します。

SPD Engineライブラリとファイルシステム

SPD Engineライブラリには、データファイル、メタデータファイルおよびインデックスファイルを含められます。SPD Engineでは、カタログ、SASビュー、MDDB、その他のユーティリティ(バイト)ファイルはサポートされません。
SPD Engineでは、z/OSのzFSファイルシステムが使用されます。

ユーティリティファイルワークスペース

ユーティリティファイルは、追加領域を必要とするSPD Engine操作時(並列インデックスの作成時や、非常に大きなファイルの並べ替え時など)に生成されます。すべてのプラットフォームにデフォルトの場所が存在しますが、大量の処理データがある場合、デフォルトの場所の容量が不十分になる可能性があります。SPD EngineシステムオプションSPDEUTILLOC=では、ユーティリティスクラッチファイルを格納する一連のファイル場所を指定できます。詳細については、SPDEUTILLOC=システムオプションを参照してください。

一時データセットの格納

中間データセットを格納するライブラリを作成するには、LIBNAMEステートメントにSPD EngineオプションTEMP=を指定します。現在のアプリケーションで1レベル名を使用してこれらの中間ファイルを参照する場合は、USER=システムオプションでライブラリを指定します。
次のコード例では、中間データセットのユーザーライブラリ参照名が作成されます。これはセッションの終了時に削除されます。
libname user spde 'SAS-library' temp=yes; 
data a; x=1; 
run; 
proc print data=a;   
構成ファイルでUSER=オプションを設定し、1レベル名で中間データセットを参照するアプリケーションをSPD Engineで実行するようにできます。

デフォルトBase SAS EngineデータセットとSPD Engineデータセットの相違

次の表は、SPD Engine機能とデフォルトBase SAS Engine機能の比較です。
デフォルトBase SAS EngineデータセットとSPD Engineデータセットの比較
機能
SPD Engine
デフォルトBase SAS Engine
分割データセット
あり
なし
並列処理でのWHERE最適化
あり
なし
最下位ロックレベル
メンバ
レコード
指定データセットでの複数SASセッションからの同時アクセス
READ (INPUTオープンモード)
READとWRITE (すべてオープンモード)
SAS/CONNECT経由のリモートコンピューティング
なし
あり
SAS/CONNECT経由のデータ転送
なし
あり
SAS/CONNECT経由のRLS (リモートライブラリサービス)
なし
あり
SAS/CONNECT経由の使用可能性
なし
あり
SAS/SHAREでのサポート
なし
あり
SAS BY処理のための自動並べ替え(BY処理をサポートするためにデータの一時コピーを並べ替える)
あり
なし
ユーザー定義の出力形式と入力形式
あり(WHERE以外)1
あり
カタログ
なし
あり
ビュー
なし
あり
MDDB
なし
あり
一貫性制約
なし
あり
データセット世代
なし
あり
CEDA
なし
あり
監査証跡
なし
あり
NLSトランスコーディング
なし
あり
COMPRESS=
YES|NO|CHAR|BINARY (ファイルが暗号化されていない場合のみ)
YES|NO|CHAR|BINARY
DLCREATEDIR
なし
あり
ENCRYPT=
COMPRESS=と一緒には使用不可
COMPRESS=と一緒に使用可能
暗号化
あり
あり
AES暗号化
データファイルおよびインデックスファイルのみ
あり
FIRSTOBS=システムオプションおよびデータセットオプション
なし
あり
OBS=システムオプションおよびデータセットオプション
あり(ENDOBS=またはSTARTOBS= SPD Engineオプションなしで使用する場合)
あり
EXTENDOBSCOUNTER=システムオプションおよびデータセットオプション
なし
あり
拡張属性
なし
あり
関数とコールルーチン
あり(ただし一部例外あり)
あり
テーブルをOSユーティリティによって異なるディレクトリまたはフォルダに移動
なし
あり
物理的な順序で返されるオブザベーション
なし(BYまたはWHEREが存在する場合)
あり
DLDMGACTION=システムオプションおよびデータセットオプション
ABORT | FAIL| PROMPT | REPAIRはあり、NOINDEXはなし
あり
1WHERE処理では、関数とコールルーチンはスーパーバイザに渡されて処理されます。したがって、並列では処理されません。
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